- ◆希里乃
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「はい、ここだよー」
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- ◆大輝
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「こ、ここって――」
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希里乃に手を引かれて連れられてきた場所、そこはまぶしいほどに色とりどりの品が並ぶ……
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- ◆希里乃
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「じゃじゃーん! 女性用下着売り場~っ!」
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希里乃は満面の笑みで、しかも得意気にそんなことを言った。
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- ◆大輝
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「…………」
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- ◆希里乃
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「あれ? なんで眉間に皺寄せてるの? 好きじゃないの? 女の子の下着」
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そ、それとこれは違うぞ希里乃!
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- ◆大輝
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「あ、あのなぁ希里乃。こういうところって男と来るところじゃないだろう……」
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女性用下着売り場の前なんて初めて来たのだけど、この男子禁制の雰囲気は結界並みだ。
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希里乃と同伴しようが、絶対に無理。
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- ◆大輝
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「下着が欲しいなら、終わるまで俺はその辺りで待ってるから」
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- ◆希里乃
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「やーだっ。お兄ちゃんに選んで欲しいの!」
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がしっ、希里乃は俺の腕にぶら下がるように両手で掴んだ。
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- ◆大輝
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「お、俺にここに入れと!?」
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- ◆希里乃
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「ね、ね、お願い! 中に入っちゃえば外からは見えないから平気だって! お願い……!」
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うるうるうる……希里乃は上目遣いで俺にお願いをする。
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うぐっ、希里乃、いつの間にこんな高度は技を!?
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し、しかし下着売り場だぞ!? 耐えられるのか俺!?
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- ◆希里乃
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「うるうるうるうる……!」
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えぇーい! 可愛い妹の頼みだ――しかたない!
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- ◆大輝
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「そ、そこまで言うなら……よし、行くぞ」
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- ◆希里乃
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「やったぁ!」
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――葦原大輝、いざ前人未踏の地へ……!!
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- ◆希里乃
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「ねね、こっちとこっち、どっちが良いと思う?」
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- ◆大輝
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「あ、あぁ、どっちでも良いんじゃないか?」
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- ◆希里乃
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「むぅ、ちゃんと見て答えてよー」
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- ◆大輝
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「お、俺にはそんなのわからないって!」
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と言うより、恥ずかしくて死にそう。いや、たぶん今の俺は死んでいる。
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- ◆希里乃
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「なによー。希里乃の裸見てるんだし、わかるじゃん!」
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- ◆大輝
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「ちょ、こ、声が大きいって!」
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ただでさえ居づらいというのに……
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そんな俺には構うことなく、希里乃はにこにこ。この笑顔に負けて、ここにいるわけだけど。
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まぁでも、こんな笑顔はなかなか見られないから、対価はあるということにしておこう。
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- ◆希里乃
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「希里乃ね、わかっちゃったんだ」
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- ◆希里乃
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「ふふっ、なんかねぇ、希里乃が思っていた以上に、お兄ちゃんはおっぱい好きなんだなーって」
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- ◆大輝
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「何を根拠に……」
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すると、手にしていた下着を戻し、頬を赤くした希里乃が俺の手を掴んで言う。
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- ◆希里乃
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「昨夜も、希里乃のおっぱいをすごく可愛がってくれたでしょ?」
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- ◆大輝
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「う、それは……」
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その通りでございます。
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- ◆希里乃
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「あはは、希里乃、嬉しかったんだ~。お兄ちゃんがあんなに喜んでくれて」
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- ◆大輝
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「俺、そんなに喜んでたか?」
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- ◆希里乃
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「うん。夢中になってたって感じだったよ」
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- ◆希里乃
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「希里乃の体にこんなに夢中になってくれてるって思ったら、すごく嬉しかったんだ。えへへ」
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そんなことを、希里乃は本当に嬉しそうに言ってくれた。
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希里乃とエッチしてまったことに後悔はない。だけど、わずかながらに罪悪感めいたものはあった。
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しかしそれも今、この瞬間の笑顔に洗い流された。
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- ◆希里乃
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「だから、下着もお兄ちゃんの好みを知っておきたいの。いつまでもその……お兄ちゃんに求められたいし……」
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- ◆大輝
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「大丈夫、希里乃はいつでも、いつまでも可愛いだろうから」
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- ◆希里乃
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「もう……ふふふっ」
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本当に可愛いぞ希里乃。可能ならばこの場で抱きしめて、キスしたいくらいだ。
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- ◆希里乃
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「じゃあとりあえず、これとこれを買ってくるね。最近、胸が大きくなったせいかキツかったんだ」
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- ◆大輝
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「お、おう」
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って、まだ成長するのか!?