- ◆甘夏
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「あれ――?」
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そこにいたのは、いかにも可憐さを絵に描いたような、ビックリするほど綺麗な女の子だった。
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こんなアイドルみたいに整った容姿の女の子、モニターの中でしか見たことないぞ!
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- ◆明佳
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「甘夏ちゃん! お手伝いありがとうねっ」
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甘夏っていうのか。名前まで可愛いんだな……
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- ◆甘夏
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「いえ、あの……先生、この人が?」
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- ◆明佳
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「お? ふふーん、甘夏ちゃん、彼が気になる?」
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新堂先生は俺と彼女の間に立って、ニマニマとこっちを見ている。
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- ◆大輝
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「えっと、俺は――」
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- ◆明佳
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「ストーーーーップ!」
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- ◆甘夏
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「きゃっ!?」
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- ◆大輝
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「うぉっ!?」
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- ◆明佳
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「自己紹介は先生がするのよ! それまであなたは謎の転校生でいてねっ!」
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- ◆大輝
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「謎の転校生ですか」
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なんかちょっと格好いいものにされた。
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- ◆明佳
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「あっ、先生ちょっと職員室に忘れ物っ。少し待っててね、謎の転校生くん!」
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- ◆大輝
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「お、おう――」
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と、新堂先生はトトトっと職員室に入っていき、俺は美少女と二人になってしまった。
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き、緊張するぞ!?
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- ◆甘夏
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「ふふっ、もう先生ってば、そういうの好きなんだから」
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彼女はくすくすと口元で笑うと、俺の方を見て、小さく会釈を向けてきた。
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些細な動作一つ一つが、どこか上品で眩しくて。その仕草と表情につい見惚れてしまう。
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- ◆甘夏
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「えーっと……ふふ、自己紹介はまだできないんだっけ」
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- ◆大輝
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「あ、あぁ、そうみたい……だね」
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- ◆甘夏
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「ふぅん……?」
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甘夏と呼ばれていた美少女は少し遠慮がちに俺を見る。
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- ◆大輝
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「え?」
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- ◆甘夏
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「う、ううん――」
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- ◆甘夏
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「……どこかで見たことあるような……気のせい、だよね……」
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と、そんな声が聞こえたような気がした。
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いやいや、俺の過去の記憶をどんなに掘り返しても、こんな美少女と知り合ったなんてものは出て来ない。
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でもなぜか――少しだけ、不思議な感覚がある。
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その感覚が何なのかは、さっぱりわからないけど。