- 青葉
- 「まあまあ、こんな大きな機械でゲームをするのは初めてですわ」
- 筐体、って単語が出てこないらしい青葉ちゃんは、
本当にこういうのに縁がないんだなあと思える。
- トキヤ
- 「えーと……青葉ちゃんが好きな曲選んでいいよ。難易度はここ見ればわかるから」
- 青葉
- 「どの曲がいいのかしら……いっぱいありますのね。
じゃあ、ここはどれにしようかな、ですわ」
- くるくるくるっと選択カーソルをまわして、青葉ちゃんは適当な曲をぽちりと選ぶ。
- う、結構難しいのきたな。
- トキヤ
- 「すこし難しい曲だけど……」
- 青葉
- 「なら、手伝ってくださいませ」
- トキヤ
- 「お、おう」
- にこにこ笑っている青葉ちゃんと一緒にゲームを遊ぶ。
こうして彼女と一緒にゲームできるなんて……
- なんだか夢みたいだ。
- と、ほわほわとした気持ちはすぐに打ち砕かれた。
- 青葉
- 「えっと……えっと、こう、ですの? じゃあ、これは……」
- トキヤ
- 「ああ、惜しいな」
- 青葉
- 「……ふふふ、楽しくなってきましたわ」
- トキヤ
- 「……青葉ちゃん上手いね」
- ――確かに、最初の一回は初心者丸出しだった。
ミスも多かったからギリギリのクリアだった。
- 俺もたくさん手伝った、が……そこから青葉ちゃんは
みるみるうちにコツを掴んでしまったらしい。
- 流れるような無駄のない動きで譜面をさばいていく。
- 青葉
- 「トキヤさま、このゲームで一番難しい曲はどれですの?」
- トキヤ
- 「!?」
- 青葉
- 「隣にトキヤさまのいる今のわたくしなら……
パーフェクトすら夢ではない気がしますのよ」
- トキヤ
- 「……本気、なのか」
- 青葉
- 「ええ。さあ……教えてくださいませ」
- 最難関曲を俺は震える指で選んだ。
さっきまで音ゲー素人だった子が、こんな早くに……!?