- ふらっ、とメグリの体が傾く。
- トキヤ
- 「メグリ!?」
- 咄嗟に伸ばした手で、辛うじて白衣を掴んだ。
- 間に合っ――
- って!! ちょ、わ、うわっ!?
- 無理に引っ張ったせいで、メグリの胸元が大きく開いてしまっていた。
- メグリ
- 「兄さん……」
- トキヤ
- 「っ……メグリ……」
- メグリは力なく、俺にもたれかかっている。
- 弱々しい声で、俺を呼びながら。
- トキヤ
- 「…………」
- ……そんなに負担にならないって言ってたのに。
- トキヤ
- 「ごめ…………いや、ありがとう」
- トキヤ
- 「成功、なんだよな?」
- メグリがこんなになってまで使ってくれた術だ。
成功していて欲しい。
- メグリ
- 「はい……翌朝くらいには、兄さんの体に未来の縁が宿っているはずです……」
- トキヤ
- 「そうか、今すぐじゃないんだな」
- 今、実感が沸かないのもその為か。
- メグリ
- 「……ん……」
- メグリが、やけに潤んだ瞳で俺を見つめている。
- トキヤ
- 「どうした? って、疲れてるんだよな」
- メグリ
- 「それも、ありますけど……」
- メグリは頬が赤くなって、息も上がっていて、なんだか……ちょっぴり色っぽい。
- メグリ
- 「……私は、とっくに……」
- トキヤ
- 「うん?」
- メグリ
- 「……ううん、なんでもありません……兄さん」
- 何を言いかけたんだろう。とっくに……なんだろう?