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トキヤ
「!」
頬をさらりと撫でてくれた手が離れるのに、呆気にとられていたら顔が近づいてくる。
こつん、と、額と額がぶつかる。一瞬、何がおきたかわからなかった。
叶
「やっぱり、熱があるよ。けっこう高いみたい。もう……本当に無理しちゃだめなのに」
トキヤ
「か、叶、さん? いや。ごめん……」
なんで俺は謝ってるんだ。でもええと心配かけてるわけで、あれ、あれ?
叶
「トキヤくんって、頑張り屋さんだから。自分が無理をしてでも、ってなっちゃうのね」
叶
「そんなにしなくても、トキヤくんがちゃんとしてるの、周りはしっかり見てるのに」
叶
「あんまり無理しなくても、いいのに」
トキヤ
「か、かか、叶さん……ん、んんっ!?」
叶
「ん……んむ……」
どこか愛しげに、そして切なそうに語られる言葉に
どうしたらいいかわからなくなっていた。
なのに、それだけじゃなくて。キ、キス、された。
叶
「ん……っ、ふぁ、ちゅ………ん、んちゅ……」
唇が触れ合うだけじゃなく、舌がちろりと唇のあわせをなぞってくるのにゾクゾクした。
叶
「んれぅ……っ、ぁむ。んむぅ……っふぅ……」
舌が触れ合うと、それだけで痺れるほど気持ちいい。
叶さんの舌は柔らかくて、なんだか少し甘く感じる。
叶
「ちゅ、ちゅ……ふぁん……んくちゅぅ……」
甘えるような声が鼻から抜けていて、目を閉じた顔が間近に見えてドキドキした。
舌と舌を絡めるのにも、俺はこんな経験は初めてで。きっと叶さんも初めてなんだろう。
明らかにぎこちなくて、それが逆にぐっとくる。
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