- 美也
- 「トキヤくん……」
- トキヤ
- 「せんぱ……っ!?」
- 美也先輩の声に手を引かれるようにして、意識が覚醒する。
- の、だが、最初ちょっと何がおきてるかわからなかった。
頭の後ろが柔らかいものにあたっている。
- 美也
- 「おはようございます、トキヤくん」
- トキヤ
- 「……え? わっ、先輩のひざ!?」
- 見上げたところに顔があることといい、あきらかにこれは先輩の膝枕だ。
- 慌てて体を起こしかけたところで、頭がずきりと痛んだことでまたそのまま横になる。
- 美也
- 「あまり急に動かないほうがいいですよ」
- トキヤ
- 「は、い……でも、これじゃあ、その、膝枕では」
- 美也
- 「はい……嫌でしたか?」
- トキヤ
- 「とっ、とんでもないです!」
- 美也
- 「ふふっ……なら、よかったです」
- 美也
- 「太ももの上に男性を、というのは恥ずかしいですけど。
ここでは他に枕になりそうなものがなくて」
- 背中の感触から察するに、図書館の長椅子か。
ごつごつしたそれに比べて、先輩のももの柔らかいこと。
- いや、あまり深く考えるな。今は。これは人命救助の一種だ。
- 俺の頭痛は消え失せて、レスキュー完了しているし。
- 美也
- 「……それにしても、不思議です」
- 美也
- 「今日は、夢がかなってしまう日みたいですから」
- トキヤ
- 「夢……?」
- 美也
- 「トキヤくんと、大好きなこの場所でこんなことが出来るなんて……夢みたいです」