月森 志季(つきもり しき)は生まれ持った不思議な力により、他人の心を『見て』『聞く』ことができた。
それはダイレクトな『声』であったり、『雰囲気』であったり、あるいは『色』であったり様々だったけれど、ともかく志季には本来見えないはずのものが見え、その結果として幼い頃から辛い日々を送ってきた。
志季は他人の心なんて知りたくなかった。
そんなある日、初めて出会った『心が見えない』少女、星名 晴音(ほしな はるね)。
志季の人生において、今まで出会ったことの無い存在。志季はそのことから晴音に興味を覚え、やがて二人は恋人同士になる。
志季にとって初めて訪れた安息の日々。心から幸せと感じられる日々。
……しかしやがて志季は、自分の中にある矛盾に気づく。
『晴音の心をもっともっと知りたい』
『だけど、これ以上知るのは怖い』
――相反する、二つの思いに。
幸せだったはずの志季の心にさざなみが起き、晴音との仲にも影響を及ぼしてしまい……
果たして、志季と晴音はその試練を乗り越えて、本当の意味で幸せになれるのだろうか?