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そのまま、吸い寄せられるように
顔が近寄っていき――
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俺の唇に何かが触れる。
- ◆ 真央
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「……あっ」
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小さく声が漏れるのと同時に、唇に触れた何かが動く。
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真央の唇と俺の唇が重なっていることに、それで
ようやく気付いた。
- ◆ 真央
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「……んっ……んんっ……」
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真央の唇が少し震えている。
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ただ、それでも嫌がったりはしないままで。
- ◆ 真央
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「……お兄……ちゃん……」
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静かに、ただ静かに、俺の唇を受け入れてくれていた。
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多分、それから数秒くらい。軽く重ねあわせるだけの
キスを終えて、自然と顔が離れる。
- ◆ 真央
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「……お兄ちゃん……」
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真央の瞳は驚いたように揺れていながらも、
どこか潤んでいるように見えた。
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きっと、俺も同じような顔だったかもしれない。
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そのまま、何も言えずにしばらく見つめ合う。
- ◆ 真央
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「あ、あの……え、えっと……ご、ごめんなさいっ」
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勢いよく真央が頭を下げた瞬間、ハッと金縛りが
解けたみたいに頭が動き始める。
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お、俺……何をしたんだ? なんてことを
してしまったんだ!
- ◆ 始
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「わ、悪い、真央……今のは、その、悪かったっ!」
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罪悪感が胸の中に広がっていくけれど、
それよりも強く心臓の鼓動が鳴り響く。
- ◆ 始
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どうしようもないくらい、胸がドキドキする。
まるで掻きむしられるみたに疼く。
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こ、これって……
- ◆ 真央
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「ううんっ、わ、わたしの方こそ、え、えっと……」
- ◆ 真央
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「待たね、お兄ちゃんっ!」
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俺が呆然としている間に、顔を真っ赤に染めた
真央が小走りで駆け出していく。
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せめて、ちゃんと謝るくらいはしたい。
真央を引き留めようと手を伸ばした時。
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勝手に、俺の視界が変わっていく。
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目に力が篭って、周囲の色彩が今までとは
違ったものに染め上げられる。
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な、なんで数字が――
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――28。
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なんで、真央に縁カウントが見えるんだ……!?