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- ◆ 始
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「ちょ、ちょっと待て、由香里っ!」
- ◆ 由香里
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「ふふ。お兄さんの目的が屋上にいる誰かなのだろうな、
ということまでは分かるんだけどね」
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俺にのしかかったまま、由香里が目を細める。
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こうして接触してみると、体の柔らかさが伝わってきて。
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由香里が女の子だということを、
何よりも強く教えてくれる。
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な、なんで、ドキドキするんだよっ。
- ◆ 由香里
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「男性だから、よからぬ思いの1つや2つを抱くのは当然。
だけど、だ」
- ◆ 由香里
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「だからといって、足繁く屋上に通う
モチベーションが分からない」
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鼻先を髪の毛と、少しだけいい匂いがくすぐる。
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鈴奈さんとは少し違った、柑橘系のような香り。
- ◆ 由香里
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「なので、せっかくだから体で教えてもらおうか」
- ◆ 始
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「な、何をするつもりだ!?」
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どうする。どうしたらいい、この状況。
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俺の目的は運命の相手と結ばれることだろ。
で、由香里も、その中のひとり。
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ということは、ここで色んなことに発展してしまえば、
それで条件は満たせるのか?
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いや、でも縁カウントがあるもんな。
- ◆ 由香里
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「私の口から言わせるつもりかい? お兄さんが、
そういう趣味なら、それはそれでいいけど」
- ◆ 由香里
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「何をしたいのか、お兄さんに優しく
教えてもらいたい、かな」
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由香里の指が首筋を撫でて、背筋がゾクゾクと震えた。
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こ、このまま流れに身を任せてしまう、か?
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……いや、駄目だ。なし崩しでそういうのは。
そういうのは……
- ◆ 始
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「真のイケメンにあらずっ!」
- ◆ 由香里
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「おおっと」
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とはいえ、力任せに押しのけるわけにはいかないし、
相手は女の子だ。
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少し照れながらも由香里の肩を掴むと、そっとベッドに
横倒す。
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その後は、必要以上に触れないように気をつけて
慎重に体を離してから、急いで起き上がった。
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……ふう。ミッションコンプリート。