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活気に満ちた学内とは裏腹に、屋上は静かだった。
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- まるで周囲から隔離されたような沈黙。
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- 人の気配や息遣いさえもない。
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- 場違いな場所に来てしまった。そんな錯覚を感じるほどだ。
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- そんな静寂の中――彼女が佇んでいる。
- ◆ 始
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「あ、あの……」
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- 俺の声に反応して、彼女が振り返る。
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- 綺麗な髪がゆっくりと流れて。
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- 初めて、彼女と対面する。
- ◆ 始
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「……っ」
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- その瞬間、ぐっと胸が詰まった。
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- 短く息を飲み込む喉の下で、心臓が
うるさいくらいに飛び跳ねる。
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- 彼女が、俺の運命の相手――ッ!
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- 右目に力を込めるイメージ。
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- 見たい。俺と彼女の距離を。
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- こんなにも胸を高鳴らせる出会いを果たした彼女と、
結ばれるための目安を。
- ◆ 七海
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「私に何か御用ですか?」
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- そう問いかけてくる彼女の頭上に浮かんだ数字は――
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- ――870000000。
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- ゼロの数がやたらと多い。
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- いち、じゅう、ひゃく、せん、まん……
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- ……はちおくななせんまん?